【対談】NPO法人コヂカラ・ニッポン 川島代表 × キャリア教育総合研究所 平田代表理事 対談

キャリア教育総合研究所では、「キャリア教育の理念の普及」を目指し、
同じ方向を向いて走っているトップランナーの方々と、対話の機会を大切にしていきます。
今回は、子どもたちの「本気」を引き出すキャリア教育に取り組んでいる
NPO法人コヂカラ・ニッポン代表の川島 高之さんとの対談の様子をご紹介します。

 

対談テーマ
「これからの社会を生きる子どもたちに必要な力とは
 父親として、祖父として男性が子育てにどのように関わっていけるのか」

 

■NPO法人コヂカラ・ニッポンの取り組み
川島高之代表(以下「川島」) 本日はよろしくお願いいたします。
まずは、NPO法人コヂカラ・ニッポンの紹介からさせていただきます。
一言で言うと、「実際に子どもたちが役に立つという経験を通じてキャリア教育を提供する」活動をしています。
”キャリア教育“というとよくあるのは、小学生や中学生は、町のパン屋さんなどに行って、
半日職業体験するというような取り組みです。高校も同じような感じの職業体験と、
就職をどのようなところにしたらいいのか、というような授業です。
両方それはそれでいいのですが、小学生も実際世の中に役に立てることはたくさんあるのだから、
役に立ってもらおうではないかと思うのです。役に立つまでには、失敗もある、試行錯誤がある、仲間割れもあります。
でも最後は「役に立った」という経験をさせるのが大切だと思って始めたNPOです。

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NPO法人コヂカラ・ニッポン 川島 高之 代表

プロジェクト事例としては、千葉県の小学生(当時6年生)が洋菓子メーカーのヒロタさんと「お米のシューアイス」を
作ったものがあります。歴史あるヒロタさんの商品の中でも過去最大のヒットを生み出しました。
つい先日は、沖縄県西原町の高校生が自分たちの町を元気にするために東京で特産品販売を行いました。
非常にいい売れ行きでした。今回は黒糖や紅芋を使った地元の既存の商品を販売したのですが、
将来的には新しい商品を子どもたちの手で企画開発して、実際に売って地域に貢献するプロジェクトに
していきたいと考えています。
もうひとつの特徴は企業や地域に役立つ経験を子どもたちにさせることは逆に申し上げると、
企業や地域にとっては実利でプラスになるということにこだわっています。
そのことで地域・企業は本気になると同時にこの活動が持続性が担保されるのです。
一般的に企業が子どもたちのキャリア教育に取り組むといっても、社会貢献活動CSRとして行うものは
単年度予算で持続性がない事業が多いものです。
「社会貢献としてしょうがない」と(企業・地域側の)本気度が足りないようなことが多いのではないかと思うのです。
そのようなことに対して、実利が伴うことでいろいろな面でプラスになるというのが特徴です。

平田豪成代表理事(以下「平田」 参加する子どもたちはどうやって集まっているのですか?

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一般社団法人キャリア教育総合研究所 平田豪成代表理事

川島 このような取り組みに関してはまだまだ保護者の理解がたりないと感じています。
子ども集めに苦労している現状です。学校や地域が集めてくれることもあります。
先ほどのヒロタさんのプロジェクトは小学校が、西原町では行政が取り入れてくれました。ケースバイケースです。

平田 実利が伴う活動にする、ということは、「何を、どのような方法で売るのか」という問題解決プロセスが
必要だと思うのですが、ある程度そういう能力のある子がいないとできないのでしょうか?
ただ話し合っていてもうまくいかないように思うのですが、参加するお子さんは選抜するのでしょうか?

川島 選抜はしません。まさに、商品を売る、地域に役立つというのは、ビジネスです。
ビジネススクールと感覚は同じだと思っています。高校生には私自身がMBAの入り口の入り口…くらいですが
レクチャーしました。物事をこう考えて、こうすることが、ビジネスのPDCAだよ、というくらいのことです。
小学生には、もっと簡単に、仕入れ原価と販売価格と営業コストがあって、利益がでないとビジネスにならないよ、
などということをOJTのなかで、やりながらわかりやすく教えました。
その中で、主導的に動く子が自然発生的に出てくるのを待つのです。
■一般社団法人キャリア教育総合研究所の取り組み

平田 私どものキャリア教育総合研究所は数年前に設立しましたが、休眠化していたのをここ2年くらいで活動を始めました。
“キャリア教育”ということを世の中で盛んに言われだしたのは2004年ごろからでした。
国として関心が高まったのは、ニート・フリーター問題や若い人が職場に定着しないことからです。
政府主導のキャリア教育キャンペーンは、「辞めない子を育ててほしい」という意図が根底にはあると思います。
幼児教育から大学まで全ての段階でキャリア教育の必要性がいわれていますね。

滋慶学園グループでは、全国に専門学校を60数校展開し、18歳~20代前半の方に向けて教育を行っています。
私自身はこの春、専門学校の経営の第一線から退いて、今後はキャリア教育のプラットフォームをつくりたいと考えています。
「キャリア教育」は政府からトップダウンで下りてきているものの、どの学校群でも十分受け止め切れているとは言えず、
優れたソフトがないのが現状です。
もちろんいくつかの素晴らしい取り組みはあるのですが、私たちもその一団に加わりたいと考えています。
専門学校で取り組んでいるキャリア教育として、滋慶学園ではこの30年、学校に入ったら辞めない“中途退学ゼロ”
就職した仕事も簡単には辞めない“早期離職ゼロ”の目標を掲げてやってきて、一定の成果をあげてきています。

次にこのキャリア総研でやりたいことは、幼児教育-小さいお子さんへの「キャリア教育」です。
キャリアというのがその年齢にふさわしい社会的な役割を意識することであるなら、子どもにはその年齢に応じたキャリア発達が必要だと思っています。
一番集目しているのは5歳から7歳くらいのお子さんへの教育です。
この年代に考える力をつけさせてあげられるかどうかで、生涯学力というようなものが決まってくるのではないかと考えています。
小学校に上がって1~3年生くらいはなんとか過ごせたとしても、小学校4年生くらいに学習の壁があると言われています。
それを乗り越えられるようなプログラム、有効な対策を立てられないかというのが私たちの幼児教育のテーマです。

文科省でも「キャリア教育」というのは究極すると生きる力を付けさせることだというような言い方をします。
私が考える「生きる力」とは、いくつか切り取り方があるとは思うのですが、

1、考える力(自問自答する力)
2、交わる力(対話する力)

日本人はこの力が弱いといわれていますが、これからの若者にはそれを強化することが大切だと思っています。
1,2は両方とも言語の力です。聴く読む話す書くがベースになります。

3、知る力(認知して理解する、新しい知識を自ら摂取する)
4、行動する力(はじめられる力)

この4つの力が学力を構成する原型になるのではないかと考えています。
幼児期から学童期にかけてのこの力を身につけるメソッドを作っていきたいというのが今一番課題意識をもっているところです。

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